ドラクエプレイ小説みたいな日記3(ネタバレあり)

【ユリマの頼みごと】

町を出た。

トロデは、人を外見で判断するなと怒るが、個人的に、今回のトロデの場合はどうしようもないような気がする。外見とかそういうレベルを越えてしまっているのだ。ヤンガストロデにものすごく同意しているが、お前はまだトロデレベルには達していない。安心して欲しい。ただ、その頭のトゲトゲを取ったほうがいいのは確かだ。
とりあえず、ライラスを探すことが出来ていない。というより、すでに死んだらしい、ということをトロデに伝えると、彼は意外に諦めがよく、それを「仕方ない」の一言で済ませた。それはそれでどうかとも思うが、結局は、ドルマゲスを探さないといけないのだから、ライラスはいなくてもまぁ自力で探せばいい。彼が言いたいのはそういうことらしい。しかし、この広い世界の中から、どうやって人一人を探せと言うのだろうか。途方に暮れるしかなさそうだが、とりあえずトラペッタにいてもすることもないので、俺たちは町を後にしようとした。その時。
「お待ちください!」
と、女の声が背後から聞こえた。振り向くと、一人の女の子がそこにいた。彼女の名前は、ユリマ。占い師ルイネロの娘らしい。ルイネロといえば、どうにかしちまったヤツという噂をさっき聞いたばかりだが、その娘が一体俺たちに、頼みたいことがあるという。
とりあえず、彼女の話を聞くためにオレは彼女の家に向かった。井戸のすぐそばにある彼女の家のドアを開けると、そこには大きなガラス玉の置いてある机と、その机に顔をうつぶせにしたまま寝ているユリマがいた。さっき町の外で話をしてからまだ10分ほどしか経っていないというのに寝てるとは。のび太かお前は。怒りを通り越して、尊敬の念をも抱いてしまう。
起きた彼女に話を聞くと、頼みごとというのは「水晶玉」に関することらしい。ユリマの父ルイネロは、かつては高名な占い師だったが、今は占いが当たらなくなってしまったのだという。そしてそれは、「水晶玉」が「ガラス玉」に代わってしまったことが原因だと言うのだ。まぁオレにとっては水晶玉だろうがガラス玉だろうがシャボン玉だろうがなんでも構わないのだが・・・。
そのとき、背後のドアが開く音がし、一人の男が家に入ってきた。男はいきなりユリマに向かって小言を連発し、さっさと二階へと上がってしまった。俺も男には見覚えがあった。今の男は、さっき酒場で少し話をした酔っ払いだ。あいつがルイネロだったのか。たしかにどうかしている。
とりあえずルイネロは無視し、ユリマとの話を続けると、やはりその「水晶玉」を取ってきて欲しいのだと言う。ここでオレの頭の中に、「はい」「いいえ」という選択肢が登場した。どちらかしか喋れないようだ。オレ呪われてる。仕方なく「はい」と返事をすると、ユリマが「水晶玉」の在り処を教えてくれた。彼女の見た夢によれば町の南の滝の下にある洞窟に大きな水晶玉があるという。さすが占い師ルイネロの娘、と彼女は言うが、むしろ本当はお前が占い師なんじゃないのかと問い詰めることもできず、オレは町の南の滝の下にある洞窟(長いんだよ)に向かうことにした。
町を出て、トロデに事の経緯を説明すると、ルイネロが占いできるようになればドルマゲスも探せるから一石二鳥だ、などとあたかも「ワシ、素晴らしいアイディアを思いつきました、すごいだろ」的な喋り方をするもんだから、頭にきたオレは町の宿屋で明日の朝までフテ寝することにした。滝の洞窟へは明日の朝行くことにする。

★つづく